「額面81歳の壁」だけで判断すると損をするかもしれません。順番と手取りで考え直します
65歳時点の年金見込み額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を分けて入力してください。失業手当との調整で止まるのは老齢厚生年金の部分だけだからです。
65歳より前に老齢厚生年金を受け取っている状態で、失業給付(基本手当)を受けるための求職の申し込みをすると、老齢厚生年金の支給が停止されます(老齢基礎年金は対象外)。 ここでは「60歳で自己都合退職し、基本手当を受け取り切ってから繰り上げ請求する」場合と、「65歳定年まで働き、高年齢求職者給付金(一時金)を受け取ってから65歳受給する」場合を、賃金から試算した給付額で比べます。 まず給付金だけを比較し、次に60〜67歳あたりの累計額の動きを見ます(想定寿命までの通算はKPIカードを参照)。
65歳になると税金の計算上引ける金額(公的年金等控除)が60万円から110万円に増えます。これは「繰り上げで先にもらっている人」も「65歳から普通にもらう人」も、65歳になれば同じように恩恵を受けます(年齢で決まる制度で、いつ請求したかは関係ありません)。 ただし、この+50万円の控除は年金額が少ない人ほど「割合」で見た効果が大きくなります。そのため65歳以降は、繰り上げ組の手取りが額面のとき以上に底上げされ、普通にもらう側との毎年の差額が額面のときより縮みます。 普通にもらう側が追いつくスピードが遅くなる分、手取りで見た損益分岐点は額面で見た場合より少し後ろにずれます。下のグラフとKPIで、実際に何歳でずれるかを確認できます。 (YouTube情報の通りにならないので検証中)
繰り上げ受給で受け取った年金の手取りを生活費に使わず全額運用に回した場合の資産評価額と、 運用せずに受け取った分をそのまま積み上げた場合の累計受取額(65歳・標準受給/75歳・最大繰り下げの2パターン)を比べます。 利回りは一定ではなく上下する前提でご覧ください。
このLessonの内容を振り返るチェックリストです。理解できた項目にチェックを入れましょう。
会社を辞めたあと、次の仕事を探している間にもらえる「失業手当」というお金があるが、65歳より前に厚生年金を繰り上げてもらい始めると、この失業手当がストップしてしまう。同時に両方をもらうことはできない仕組みになっている。
65歳になってから辞める場合は「高年齢求職者給付金」という一時金(30日分か50日分)がもらえ、これは年金と一緒にもらってもよい。一方、65歳より前に辞める場合は「基本手当」(自己都合なら90〜150日分)がもらえるが、この期間は年金の繰り上げ受給と同時にはもらえない。どちらが得かは、賃金や勤続年数によって変わる。
一度「年金を早くもらい始めます」と手続きしてしまうと、あとから「やっぱり65歳からにします」と変更することはできない。しかも繰り上げたあとに万が一病気やケガで障害を負っても、障害年金がもらえなくなったり、配偶者を亡くした場合の「寡婦年金」がもらえなくなったりすることがある。だから繰り上げは慎重に決める必要がある。
「額面」は税金などが引かれる前の金額、「手取り」は実際に使えるお金。早くもらうか65歳からもらうか、どちらが得かを比べるとき、税金を考えない「額面」で比べた場合と、税金を考えた「手取り」で比べた場合とでは、「得になる年齢」が変わってくる。グラフではその両方の年齢を確認できる。
65歳になると年金の控除額(税金の計算で差し引ける金額)が増えるため、65歳以降の年金は税金の面で少し有利になる。そのため、税金を考えない単純な金額(額面)だけで比べるよりも、実際に手元に残るお金(手取り)で比べたほうが、65歳から受け取ることの良さがより見えやすくなる。だから2つの「損益分岐点」の年齢がズレる。
Lesson2で出てきた「税金がかからない金額のライン(壁)」は、60〜64歳と65歳以降で違う。年金を繰り上げてもらっている60〜64歳の間は壁が低め(105万円)で、65歳になると壁が上がる(155万円)。同じ人でも、年齢によって「税金がかからないライン」が変わるということ。